初めまして、大好きな人



ふと、あるものを目にした。


鮮やかな青い色のノート。


それは丸テーブルの上にちょこんと置いてあって、
白を基調としたこの部屋の中で一つだけ異彩を放っていた。


丸テーブルの前に座り込んでノートを手に取ると、
急に頭痛が走った。


頭を押さえて目をつぶる。


ぐわん、ぐわんと何かで殴られているみたいな衝撃が走る。


しばらくそうしていると、
次第に痛みは消えていった。


完全に大丈夫になってから、
ふぅっと息をついてノートをもう一度手に取った。



「め、も、めもり?なにこれ」


表紙には黒の文字で「MEMORe:」と書かれている。
確かに私の字だ。
これは私のものなのかな。


でも、こんなの覚えがない。
大体私は好んで青色を選ぶことがないから、
違和感しか感じない。


このノートは一体なんなんだろう。




ごくりと喉を鳴らしてノートを見つめる。


開いてもいいのかな。
でも、私のだよね?
中には何が書いてあるんだろう。


どくどくと心臓が高鳴る。


私は思い切ってノートを開けてみることにした。



十二月一日。
日付はそう書かれていた。


どうやらこれは日記みたいだった。


なんだ、日記か。
でも、書いた覚えがない。
忘れっぽくなったのかな。
でも、これを見ても全く思い出せないなんてある?


読み進めていくうちに、冬なのに汗が流れてきた。


まさかそんな、こんなことって…。



「あ、あり得ない」




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