恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

立ち上がり、梓が思わずすがりつきそうになったそのとき、久城が一樹を見て目を見開いた。


「なんで一樹がここにいるんだ」


思いもよらないことを久城が口走る。


「梓さんと知り合いだったのか?」
「クレアストの社員だよ。うちで働いてくれてるんだ」


ふたりはいったいどういう関係なのだろうか。
梓が目を瞬かせて交互に見ていると、一樹は信じられないことを口にした。


「俺の父なんだ」
「えっ……」


まさか多香子の主治医である久城が、一樹の父親だったとは。
一樹の名字も久城だが、たまたま同じなのだろうと深く考えもしなかった。


「梓さんが一樹のところで働いていたとはね。世間とは狭いものだ」


本当にその通り。一樹の父親と普段から接していたとは思いもしない。

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