恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
気を取り直して、それに近づく。
コーナーテーブルの上に置かれた模型は、小さいとはいえ細部にわたって実際の建物に忠実なもの。素材こそ仮だが、テーブルやチェアーまで配置されている。
設計部のスタッフが魂を込めて造ったものなのだ。
一樹は「ああ」と言いながら、それを持ち上げてセンターテーブルに運んだ。
シュプリームウエディングの社長たっての依頼で、一樹がデザインした極上の式場。それがこれだ。
「これまである、どの式場よりも素敵なものが完成しそうですね」
「誠心誠意を尽くしてデザインしたからね」
「私のお気に入りは、天井の照明なんです」
屋根部を持ち上げ、壊さないよう細心の注意を払いながら一樹が「ここか?」とひっくり返す。
雲をかたどったような形状をした照明。一樹がデッサンしたものを初めて見せてもらったとき、街よりも空に近い、丘の上の式場ならではの発想に梓の心はわしづかみにされた。
「早く実物を見てみたいです」
「完成まで、あともう少しだな」
「でも、この模型はどうしてここにあるんですか?」