恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

今、作成しているものは間もなく完成する。


「はい、大丈夫です」
「よかった。明日、クライアントに提示しなければならないので助かります」


デザイナーがクライアントから聞き取った要望を元に作成したデザイン案を、専用のソフトで視覚化するのは梓の仕事のうちのひとつ。
完成したそれを使い、デザイナーがクライアントにプレゼンをするのだ。


「梓さん、なにかありましたか?」


パソコンのモニターの隙間から絵梨が顔を覗かせる。


「え? どうして?」
「ぼんやりしていることが多いなーと思って」


数日前、宣言通りストレートパーマをかけてきた絵梨が、いつものように小首を傾げると髪がサラッと揺れた。
絵梨はどんな髪形をしても似合う。


「ううん、そんなことないよ。ちょっと寝不足だったせいかな」
「そうですか? それならいいんですけど。なにかあったら相談に乗りますからね」


頼もしい言葉を絵梨からもらい、梓は「ありがとう」と微笑み返した。

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