恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
◇◇◇
陽子の店が、あの場から消されようとしている。
曾祖父母から引き継いだ大事なあの場所が今、なくなりかけている。
梓の頭の中は、この二日間、忍び草のことでいっぱいだった。
自宅での陽子は普段と変わりないように見えて、時折考え込むようにしている。なにかあったのか素知らぬふりをして聞こうと思いながら、ずっとできずにいた。
「佐久間さん、これ、いつものようにお願いします」
パソコン画面に目を向けたままぼんやりしていた梓は、不意に声をかけられ目が覚めたように我に返る。
「あ、は、はい……」
同僚のデザイナーが、梓の顔の前に箇条書きの用紙を差し出していた。クレアストで一樹の次にクライアントからの指名が多いデザイナーだ。
差し出されたのは、新しく依頼のあったデザイン案。アパレル専門店のリニューアルを手掛けたものだ。
「明日までにできますか?」