恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「こちらでございます」
「どうもありがとう」


男の感謝の言葉に会釈で返し、絵梨のもとへ戻る。絵梨は羨ましそうに招待客を見ては、ため息をついていた。


「あーあ、早く終わらないかな。豪華な料理を前にしているのに食べられないって拷問ですよぉ」
「まぁそう言わないで。終わったら、ふたりでなにかおいしいものでも食べて帰りましょ」
「そうですね! そうでもしなきゃ、やっていられませんもんね!」


絵梨は拳を握りしめて、強くうなずいた。


「ところで梓さん、進行表持っていますか?」


絵梨に言われてポケットを探る。きっちりと四つ折りにされた用紙を取り出し、梓はそれを絵梨に手渡した。


「さすが梓さん! しかも、こんなに綺麗に畳まれてるところが梓さんらしい」


手伝いとはいえ、パーティーの主催者の一員。進行表は持っていて当然のものだが、どうやら絵梨は携帯していないらしい。

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