代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
初めてのレンタル彼女。
自分には絶対必要のないサービスだけど、乃亜さんとデートするには申し込まなければならないサービスだった。
じゃないと1ミリも相手にされないなんて、この時のプライドが許すはずがない。
「時期じゃないから浴衣はナシね」と言われて、またその時期に浴衣デートが出来るんだと胸を弾ませた。
服装のリクエストなんてないよ。
普段の乃亜さんとデートしたいんだ。
乃亜さんの勝負服で来てよ。
別途料金がかかるものも全部お願いして3日以内に振り込むシステム。
会って直接渡すのもアリみたいだけどそんなの絶対冷めるじゃんか。
現実に引き戻されるのはごめんだぜ。
ある程度詳細を決めて、当日までに変更等の際に連絡方法としてLINEを交換する。
そこで直接クライアントとやり取りしてるみたい。
取り出した携帯は仕事用だってすぐにわかった。
紗和ちゃんが救急搬送された時に持ってた携帯とは違う。
運良くプライベートの携帯が鳴り「ちょっと失礼」と立ち去った。
すぐに終わって「ごめんなさい」と戻って来た時点でバックに直そうとしたもうひとつの携帯を取り上げた。
「俺はこっちと交換がしたい」
「は?無理に決まってんでしょ、早速契約違反する気ですか?このデート、無効になりますよ?」
「うっ…!」
急に仕事モード。
でも、ここで引き下がりたくない。
もう手に持ってんだぞ。
そのまま返せるかよ。
事務的な対応だけのLINEなんて嫌だ。
プライベートの乃亜さんと繋がりたいのに。
「返してください」