チョコレートは恋に等しい
「じゃあ、ほらこれあげるから」
谷が持ってた紙袋を私に差し出した。
その紙袋は、私が欲しかったけどさすがに高くて諦めた、一粒3000円のチョコレートを売っていたお店のものだ。
谷が味が気になると言って私の羨む目線を浴びながら買っていたから、その中身は間違いなく3000円もするたった一粒のチョコレートだ。
「えっ、いやいやいや……さすがにいらないわ。自分で食べなよ」
いくらチョコレートが好きで、ふてくされている原因が谷だとしても一粒3000円のチョコレートは受け取れない。
そんなにがめつくない。