堅物社長にグイグイ迫られてます
私みたいな平凡の女が御子柴商事のような大企業の創立記念パーティーに参加できるわけがない。しかも御子柴さんの彼女役なんてできる気がしない。

「ね、雛子ちゃん。悟のために一日だけ彼女になってあげてくれないかな」

「いや、えっと……本当に私ですか?」

ちらっと御子柴さんへ視線を向けると、まるで私を観察でもするかのようにじっと見ながら難しい表情を浮かべている。

な、なんだろう……。

その鋭い視線に若干怯えていると、御子柴さんがため息をつきつつ口を開く。

「そうだな。この際もう百瀬でいいか」

えぇ!?

聞こえてきた言葉に思わず耳を疑ってしまう。

もしかして御子柴さんも彼女役を私に頼もうとしている?

佐原さんはともかく御子柴さんには『お前なんかに仮でも俺の彼女が務まるか』と即座に却下されると思っていたけれど。

「いや、むしろ百瀬ぐらい何も考えていなさそうなやつの方がいいのか。お前のその鈍感力ならパーティー会場の雰囲気にのまれることも、親父の圧力にひるんで泣き出すこともなさそうだしな」

独り言のように呟いた御子柴さんの視線がすっと私へ移動する。
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