堅物社長にグイグイ迫られてます
「わぁ!美味しそうですね」

まずは焼き鳥の定番メニューのねぎまをいただいてみることにする。柔らかくてジューシーなもも肉の間に挟まれているねぎもまた柔くて甘い。

あっという間に一本を食べ終えると次はぼんじりだ。こりこりとした食感で噛めば噛むほど味が口の中いっぱいに広がっていく。こちらもあっという間に食べてしまった。

三本目は私の大好きのつくねだ。それに手を伸ばしつつ、隣でビールを飲んでいる御子柴さんに声をかける。

「そういえば御子柴さんはどうして建築家になろうと思ったんですか?」

「なんだ急に」

「なんとなく聞いてみました」

御子柴さんには実家が経営している御子柴商事という大企業の跡取りになる道があったはずなのに、その道を外れてまで建築家という仕事に飛び込んだのはどうしてなんだろう……。と、その理由が前から気になっていたのでいい機会だから聞いてみた。

けれど、なかなか御子柴さんから言葉が返ってこない。教えてもらえないのかも、と思い始めたところで、御子柴さんはビールをひと口煽ると唐突に話を切り出した。
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