堅物社長にグイグイ迫られてます
その理由を教えてもらうことなく翌日の午後三時はやってきた。

事務所を出た私たちが地下鉄を乗り継いでやってきたのは都内でも有名な高級住宅地。ずらりと豪邸が立ち並ぶ様子に思わず辺りをきょろきょろと見渡しながら私は思わず感嘆の声を上げてしまう。

「わー!すごい!立派なお家がたくさんですね」

まるでお屋敷のような立派な家が道路に面してずらりと続いていて、ガレージにはどの家も必ず外車が止められている。都会の真ん中だというのに周辺には緑も多く、静寂に包まれていた。

御子紫さんは、建築中の一軒の前で足を止めた。すでに外観がほぼ出来上がっているその建物はさすが名の知れた高級住宅地に建つだけのことはあり、大きさもさることながら外観もすごくお洒落だ。白い壁にオレンジ色の瓦屋根、そしてアーチ状の玄関ポーチなど、日本ではあまり見かけない家のデザインのような気がする。

「これは依頼者の希望で南欧をイメージして設計したんだ」

隣から声が聞こえてそちらに視線を向けると、御子柴さんが両手を腰にあてながら目の前の家を誇らしげに見上げている。

どうやらこの家は御子柴さんが設計したらしい。

「前に見たいって言ってだろ」

御子紫さんがぽつりと呟く。
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