堅物社長にグイグイ迫られてます
「ごめん雛子。本当は俺一人で来ようと思ってたんだ。でもそれを美弥さんに話したら一緒に来たいって言われて付いてきちゃって。一緒にいいかな?」

美弥さんて名前なんだ。

一緒にいいかな、と言われても、もうここへ来てしまっているのだからダメとは言えず私は黙って頷いた。

両手に飲み物を持った俊君の浮気相手――美弥さんが戻ってくる。

「はい。俊太。熱いからね」

「あ、うん。ありがとう」

俊君に飲み物を手渡すと、美弥さんは俊君の隣の席に腰掛けた。そして自分の飲み物にゆっくりと口をつける。

真っ赤な口紅。きれいに引かれたアイライン。長い睫。少し茶色がかった髪の毛は綺麗にパーマがかかっているし、手の爪はきれいにネイルが施されている。服装はびしっとしたパンツスーツで、いかにも仕事のできる女性という印象だ。

私とはまるで正反対の美弥さんに何だか女性として負けた気がして少し落ち込む。でも、彼女に俊君をとられてしまった時点で私はもうこの人に完敗しているんだ。
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