堅物社長にグイグイ迫られてます


「美味しそう!」

割り箸を両手で割ってから顔の前で「いただきます」と手を合わせる。目の前には湯気がのぼる熱々の塩ラーメンが置かれている。

「本当にラーメンでよかったのか?」

四人掛けの席に向かい合って座っている御子柴さんはテーブルに肘をつき、ラーメンに目を輝かせる私を見ている。

「はい。ここのラーメン好きなので」

まずはレンゲでスープをとってひと口のむ。うん、やっぱりおいしい。その次は割り箸で麺をすくいするすると食べる。

「おいしい」

お腹がすいているから余計に美味しく感じる。つい言葉もなく黙々と食べてしまう。そんな私を見ていた御子柴さんのラーメンをゆっくりと食べ始める。

あのあと、御子柴さんに“なんでも好きなものをご馳走してやる”と言われた私が選んだのがこのラーメン屋だった。

駅前の大通りからは少し離れた場所にあるこのラーメン屋は隠れた名店で、ランチ時はよく行行列ができている。

私は、列に並べるほどランチの時間に余裕がないので、ここへ食べに来るのは決まって仕事終わりの晩ご飯だ。
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