堅物社長にグイグイ迫られてます
「お前は、俺の気持ちなんてどうでもいいってわけか」

「いえ、そういえわけじゃ……」

「そういうことだろ。俺が、お前を好きだって気持ちはどうでもいいんだよな」

「……」

そう思われても仕方のないことを私は言ってしまった。

御子柴さんからの告白を忘れていたわけではない。でも、単純な性格の私の頭の中は"御子柴さんが建築家を続けられるにはどうしたらいいのか"ということでいっぱいになっていて、御子柴さんが私を好きだという気持ちがすっぽりと抜け落ちてしまっていた。

本当に私はバカだ。大バカだ。

こんなときにまで空回りなことをしてしまう。そんな自分の性格が本当に嫌になる。私は御子柴さんにひどいことを言ってしまった。

あー、私のバカバカバカ!

今さらどんなに悔やんだところで、言ってしまった言葉はもう消せない。

「あ、あの……御子柴さん、違うんです」

御子柴さんの気持ちをどうでもいいだなんて思っていない。そう伝えたいのにどんな言葉を掛けていいのか分からない。

焦る私とは正反対に御子柴さんの表情は冷静だ。いや、冷静というよりも私を見つめるその瞳はとても冷たい。

今までどんなミスをして怒られても御子柴さんにこんな冷たい瞳で見られたことはなかったのに。

きっと今の御子柴さんは本気で怒っている。
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