堅物社長にグイグイ迫られてます
「――百瀬」

御子柴さんに低い声で名前を呼ばれて思わず体がピクッと跳ねる。

御子柴さんはゆっくりとソファから腰を上げると私の方へと近付いてきた。そして強い力で腕を捕まれたかと思うとそのまま勢いよく引き寄せられる。と、御子柴さんの顔がすぐ目の前まで迫ってきた。

「あ、あの、御子柴さん……んっ」

言いかけた私の言葉は御子柴さんの唇に塞がれてしまった。

御子柴さんにキスをされている。

捕まれていない方の手で御子柴さんの胸を軽くたたいて抵抗するけれど、その手も御子柴さんに捕まれてしまう。

キスがだんだんと深くなっていく。

どうしよう。息ができない。

すると唇がいったん離される。そのすきに息を吸い込むとまたすぐに唇が塞がれてしまった。そしてまたすぐに深いキスに変わっていく。

どうして御子柴さんはこんなことをするんだろう。

思わず瞳に涙がたまってくる。すると一瞬だけ私の手首を掴んでいる御子柴さんの手の力が緩んだのが分かった。そのすきに私はさっと手を抜くと御子柴さんの胸をトンと強く押した。

重なっていた唇が離れると、私は数歩後ろに下がり御子柴さんから距離を取る。そして、気が付くと彼の頬を思い切りたたいていた。
< 264 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop