堅物社長にグイグイ迫られてます
「ただし、佐原には言うなよ」

「佐原さんですか?」

「あいつに知られるといろいろと詮索されそうで面倒だ」

いったい何を詮索されるのか分からないけれど、御子柴さんがそう言うなら佐原さんには内緒にしておこう。

「分かりました。私、こう見えて口が固いので大丈夫です」

「どうだかな。うっかりペラペラ喋りそうな口してるけどな、お前は」

「それどういう口ですか」

「さぁな」

御子柴さんは少し笑いながらそう答えると、ふいに左手を私の頭にポンと乗せる。そして撫でるように優しくわしゃわしゃと髪の毛をかきまわすと、信号が青に変わり左手をハンドルへ戻しゆっくりと車を発進させた。

本日二度目の頭なでなでにまたも私の心臓がドキッと跳ねる。

でもこれはきっと信じていたはずの彼氏に裏切られて傷付いているところを優しくされたからであって、それ以外の意味はきっとない。


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