堅物社長にグイグイ迫られてます


しばらくすると御子柴さんの運転する車は、お洒落なマンションが立ち並ぶエリアへと入って行った。その一角に御子柴さんの住むデザイナーズマンションもある。

間取りは3LDK。私が貸してもらうことになったのは、御子柴さんが普段、建築模型を作るときにだけ使っているという八畳ほどのシンプルな部屋だ。

ここにはベッドと建築模型が並べられたデスクしか置かれていないけれど、長く滞在するつもりはないのでとりあえず眠れる場所があればそれだけで充分。

アパートから運んできた段ボールを広げて普段使うものを取り出していると、部屋の扉がノックされ、御子柴さんが顔を覗かせた。

「腹減ってるだろ。リビングへ来い。昼飯用意してやるから」

それだけを告げると彼は部屋を後にした。

その言葉に私は思わず自分のお腹に手を当てる。

今はちょうどお昼の時間帯。

そういえば昨日の夜からなにも口にしていなかったことを思い出す。

いろいろあり過ぎて食欲がなかったけれど、アパートから荷物を運びだしとりあえずの住む場所も決まった今になってようやく少し空腹を感じてきた。
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