堅物社長にグイグイ迫られてます
普段からドジを踏んだりミスをしたりしては御子柴さんに怒られてばかりのこんな私が、果たしてどんな恩返しができるのかは分からない。

けれど、ピンチなところを拾ってもらったこの恩は絶対に返さないといけない。もしも御子柴さんがピンチな状況に陥っていたら今度は私が御子柴さんを助けないと。そう思ったのだけれど、

「そういうつもりで俺はお前を家に置くわけじゃない」

ぴしゃりとそう言われてしまった。

御子柴さんは空になったグラスを手に取ると席を立つ。そのままキッチンへ向かうと、冷蔵庫の中からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出した。それをグラスに注ぎながら静かに口を開く。

「俺はただ、お前のことが心配なだけだ」

「え……」

私のことが、心配?

まさかそんな優しい言葉を御子柴さんの口から告げられるとは思わず、つい口をぽかんと開けてしまう。

一方の御子柴さんはミネラルウォーターがたっぷりと入ったグラスに口をつけるとそれをごくごくと勢いよく飲み干した。


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