堅物社長にグイグイ迫られてます
そんな私に冷ややかな視線を送りつつ「変なやつだな」と呟く御子柴さんからはすでに先ほどの笑みが消えていて、いつもの不機嫌そうな表情に戻っていた。

「ああ、そうだ」

すると、御子柴さんは突然何かを思い出したように声を上げるとテレビボードへと近付きその引き出しから何かを取り出して戻って来る。

「これ渡しておくから」

そう言って御子柴さんがテーブルの上に置いたのはカギだった。たぶんこの家の合鍵だと思う。

「ありがとうございます」

受け取ったそれを手の平に乗せるとまじまじと見つめた。

これで私は御子柴さんに二度もピンチなところを拾ってもらったことになる。

一度目は会社を辞めて新しい就職先を探していたところ、御子柴さんが自分の事務所の事務員として私を雇ってくれた。

そして二度目の今回は、俊君の浮気発覚で住む家を失くした私を自分の家に置いてくれた。

御子柴さんには感謝をしてもしきれない。と、私は手の平のカギをぎゅっと強く握りしめた。

「御子柴さん」

それから目の前の彼をじっと見据える。

「私、このご恩は絶対にお返ししますので」

そう言って、深々と頭を下げた。
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