君からのヘッドフォン
突然始まった、わけのわからない劇場と、突然幕を閉じた舞台。


ただ、俺は1つ…この涙を流し続ける目の前の女を後ろから抱きしめることしかできなかった。


「…ま、つしたく…っ、私…っ」

「…いいよ、言わなくたって。とりあえず落ち着け。
…大丈夫だから」


俺たちは通路の端にあるベンチに座った。栞帆は俺の隣で声もなく泣き続ける。

こういうのって、俺が泣かしたように見えるのかな。

俺は栞帆の背中を撫でながらそんなことを考える。

どれくらい、こうしていたかはわからない。

けど、栞帆が泣きはらした後は、少しムッとしていて。
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