君からのヘッドフォン
「…顔腫れてる」

「あんま見ないで」


いつも通りの栞帆に戻っていた。


「…ちょっとお手洗い行ってくる」


すぐそこに見えるトイレにかけていく栞帆。

まぁ、あれだけ泣いたら顔も腫れるだろ。

人間、目だけ腫れるのなんてそんな泣いてない証拠だし。

…あいつは、誰だろ。

言わなくてもいいなんて言ったけど、気になってしまう。

元彼、だろうか。


あー、絶対聞けない、聞いちゃダメだよなこれ。ほんと。

俺の信用がマイナスになる。


ただ、ちょっとだけ晴れ晴れしていたのは、今回の水族館は悪いことでも…なかったのかな。

それは俺には、あまりわからなかった。
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