君からのヘッドフォン
「うん。なんで?」

「あー、いや…、一緒、帰らないかな…って」


少し顔が赤く見えるのは、夕日のせいなのか。

頬を人差し指でぽりぽりかくと、目線をそらした。


帰り…か。

いいのかな…そんな。

でも…いいんだよね、誘ってくれるんだし。


「あー…うん、待ってて?」

「ん…え、いいの?」

「…誘ってくれたのに、ダメなの?」

「全然っ、帰る帰るっ、待ってる、待ってるからっ」

「…そんな、必死にならなくても」


そんな感じで、夏休みは毎日、迎えに来てくれるようになった。

なんでかは、わからないけど。
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