君からのヘッドフォン
「どうしたの?」


対照的に、和久は顔をほんのり赤くしていて、私と目を合わせるつもりもなさそう。


「…俺さ、栞帆のこと…好き」


少しだけ、ドクっと心臓が暴れる。


「俺と…付き合って、欲しい」


また、心臓が暴れる。


返事なんか決まっていた。

私がこの人の告白を断る理由なんて、ない。

だから。


口を開こうとした、その時。


「深井っ!」


教室に、勢いよく男子が入ってきた。


「な、何」

「みちるがっ」


まだ付き合い始める前の和穂くんだった。

当時はまだ、大宮くん、なんて呼んでいた。
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