君からのヘッドフォン
だから、その人の良さなんて、かけらもわからないし、ましてや浮気相手だったのに。

母さんの人の良さには呆れる。

けどさ、そんなお母さんは、いつも楽しそうで、笑顔を絶やさなくて。

お母さんがそれでいいっていうなら、それで良いんだと思ってた。


夏休みに入ってすぐ、7月29日。

お母さんの愛していた、私の父親とやらがなくなった。

お母さんはあの人が好きだったから。

私はお母さんと一緒にお葬式に参列した。


遺影を見て、初めてお父さんの存在を感じた。

まだ、若かったんだな…。
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