君からのヘッドフォン
「…好き、だよ」

「あぁ、俺も」

「…もう1回だけ。…ダメ、かな?」


何がもう1回だけなのかは、向こうはわかってるみたいだった。


和久は苦しそうに笑って、静かに私に顔を近づけた。

流されるままに目を閉じた。


2度目のキスは涙の味がした。

私の涙なのか、和久の涙なのかはわからない。

触れるだけのキスが、こんなにも悲しいものだと思わなくて。


私は和久の腕を掴んで、離れたくない、と思ってしまう。

それに気づいた和久は、わたしの薄く開いた口の中に舌をねじ込んでくる。


「…ん、ぅ」
< 156 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop