君からのヘッドフォン
そう言って、右手を振りかぶる目の前の女。

あぁ、うっざ。

なんで私が、こんな目に会わなきゃいけないの。

私が何したんだよ。

ほんと、もう。


私は目を開いたまま、痛みが来るのを待つ。

だから、すぐにわかった。

パシッと乾いた音とともに視界の端に男子の制服の裾が映る。


「…っ、ま、松下くん」

「…何してるの」

「何って…その…」


松下くんが、女の手を掴んでひどく怒った顔をしている。


「…何。なんか言えないことでもしようとしたの?」

「そ、それは…」
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