この空の果てで



「エリ、トモダチなのに隠すなんて酷くない?星川さん」



「だよね!うちら、見損なったよ」



エリがぐっと顔を近づけて口を開く。



……甘ったるい。



「お前、本気でむかつく」



どんな人が腹の底から絞り出しても決して出ないような恐ろしい声だった。



「お前なんか、味方なんて1人もいねえんだよ!

ずっと独りを味わい続けるんだよ!」



ガシャーン!



「……ッ!」



背中を打ったことに少し遅れて気付く。



正面を見るとエリ、後ろは壁。



逃げられるはずがない。



「すっげーむかつくんだよ、その余裕たっぷりの態度。

舐めてんの?うちらのこと」



その時、分かってしまった。



すっげえ可哀想なやつ。



誰かをいじめることで自分を引き立たせることしか出来ない、クズ中のクズだって。



人ってあまりの恐怖を感じると、返って冷静になれるのかもしれない。



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