この空の果てで



精一杯笑って言うけれど、顔が歪む。



「愛している」



砂時計の砂のような滑らかさでナツキの声が耳に流れ込む。



それからすぐ、プツッと切れた。



「……ナツキ?

……ねえ、答えてよ!

戸部、ナツキ……!」



リダイヤルしようと履歴の画面をスクロールするけれど、どこを見ても今までしていた電話はなかった。



……本当に消えたんだ……。



生きていた頃にしていた電話の履歴は残っていたけれど、そこに電話をかけようとは思わなかった。



しばらくは会えないだろう。



それでも、何十年か生きて、わたしも向こうに行った時にたくさんまた話がしたい。



だから、それまでは話題を溜めるためにもここで生きていこう。



すぐに話が尽きたら「こっち来るの早すぎだろ」って言われそうだし。



見える?今、空は夕焼けがすごく綺麗だよ。



これも向こうに行った時の話題に入れよう。



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