卒業式の祈り
自分の中で、糸がぷっつりと切れたような感覚に陥ってもうなんにも考えられなかった。

会いたい、会いたい。

会えないんなら、私から会いに行くよ。

もう、涙が視界を塞いでなんにも見えない。

放送でアナウンスする声がしているのはわかるけれど、なんにも聞こえない。

フェンスの一番上まで登り、下を見下ろして頭がクラクラした。

毎日、辛くて苦しくて私の心はもう限界だった。

目を閉じると、病院のベッドで医療機器に繋がれて、酸素マスクをした彼の痛々しい姿が浮かんでくる。
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