卒業式の祈り
その時ふいに、彼が私の名前を呼ぶ声が聞こえたような気がしてハッとした。

予冷のチャイムが鳴り響く音にかき消されてしまったけれど、確かに聞こえた気がした。

どこ?どこにいるの?三井くん。

そうなの?やっぱりあなたは、そこにいるの?

私の傍にいてくれてるの?

そうなんだね。

まだ終わっていない。

まだ彼は闘っているのに。

今この瞬間にも、彼は生死の境を彷徨っている。

彼は何事も簡単に諦めるような人なんかじゃない。
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