卒業式の祈り
部活も勉強も、受験も彼は粘り強く懸命に立ち向かっていき、彼のその素敵な名前の通りに勝利を勝ち取ってきたんだ。

だから、私もここで逃げだしちゃいけない。

屋上のこんな高いフェンスの上によじ登って全てを諦めて手放そうとしてはいけないのに。

彼が見ていてくれるのなら、

生きよう、生きなきゃいけない。

だけど、体はもう限界で酸素が頭に回らなくなったみたいに倒れて、フェンスから滑り落ちていった。

気を失った私は真っ逆さまにフェンスの外側に落下した。
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