卒業式の祈り
でもきっと、知らなかったでしょ?

だけど廊下や食堂でたまに会うと、あなたの方から話しかけてきてくれて嬉しかったな。

決まってあなたは私にこう尋ねたよね。

「なにか困ってることない?」

「え、どうして?」

「だって、心配だから・・・俺にできることあれば言って」

あなたには私がそんなに頼りない女の子に見えていたのかな。

困ってるってほどでもなかったけど、数学が苦手だったから、時々、勉強を教えてもらうようになったよね。

クラスが違ったから、そんな風に接点が出来て、少しでもつながっていられるのが嬉しかったよ。
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