犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら



え。なに?
と必死で彼女の思考回路を考えていると、


「赤って、ワインよね?」


と心細く弱い声が聞こえた。


「そーだけど。あれ?
赤の方が好きだったよな?」


あれ?もしかして好み変わったとか?
でもそれなら、今守屋が顔を赤くしてる意味もわからない。


「えっと、それはそうなんだけど...
浅香...今日、車だよね?
えっと...。この後はどーするつもり?」



俺があぁでもないこうでもないと悩んでいると、そんな風に守屋は恐る恐る俺に確認してきた。



あぁ。なるほど
守屋はこの後の展開について何も知らないからこのままホテルかどこかにでも連れていかれると思ったわけね。


てか、そんな展開を想像しても満更でもなさそうな顔してるように見えんのは俺だけ?


そんな彼女の気持ちをもっと探りたくて俺はもう少し彼女を攻めてみることにした。


「守屋はどーしたい?」


少し、この後に含みを持たせるような空気をわざと作って、守屋の気持ちを揺さぶってみる。


「ど、どーしたいって...。」


なんて口ごもりながらもやっぱりそれほど嫌そうには見えない。


いつもなら、『何言ってんの!変態!』
『バッカじゃないの?!誰があんたとなんて』とか言われそうなのに


今日はまるで、いいよ。と言ってるかのように恥ずかしかってるだけだ。




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