犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
食事が終わって、悪知恵が働いた俺は
「海も綺麗だし。せっかくだから散歩でもするか?
お前、だいぶ酔っただろ?酔い覚ました方がいいんじゃね?」
と彼女に散歩を提案した。
それもこれも、俺の下心は満載。
どーせ、俺に振り回されてることが悔しくてムキになって、強くもないのに赤ワインをガツガツ飲んだ守屋は1人でまっすぐ歩けない。
それを見越した散歩だ。
そんな俺の予想通りに椅子から立ち上がってコートを羽織っていると少しクラっとしている守屋。
そんな高いヒール履いてるし、余計だなー。
なんて俺は思惑通りの展開にニヤッとしてしまう。
「ったく。飲みすぎだろ。」
そう言いながら彼女の腰に手を回すと、プクッと頬を膨らませた守屋が不本意そうに俺に寄っかかってきた。
細い腰だな。
と思いながらも、彼女からふんわりと香る甘い匂いに俺の脳内も溶かされそうになった。
「これ。夜だし。冬の海は冷えるから」
そう言って守屋に俺のストールを巻くと、守屋は、ありがと。とぼそっと呟いた。
俺のものを身につけて、俺に寄っかかってくれる守屋を見ていると、なんかもう自分のものになったんじゃないかという錯覚を起こす。