犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
「今の言葉、社内の女性が聞いたら卒倒しますよ?
そんなに思われてる守屋さんが羨ましいです〜♡」
なんてうっとりする桜木に半ば呆れる。
「羨ましいっつったって、アイツには鈍感すぎてなんにも伝わってねぇけどな。」
本当に、守屋は鈍感すぎる。
ま、俺が女遊びキャラだっつうことは大きいんだろうけど。
だから余計に誠実キャラの三宅のアプローチがこわい。
「ほんっとに守屋さんになりたいです。私...
そんなふうに男の人に愛されてみたいですもん」
「まぁお前も軽い気持ちの合コンばっか行ってないで、本気の相手を探すんだな。
いつかお前にも分かるよ。本気で人の事好きになったら俺みたいにダサくなんだから。」
はぁあ〜と大きめのため息をつく桜木に、俺はそんな言葉を言った。
「えぇ〜!浅香さんほどダサくはならないですよ〜」
なんて笑って返されたけど。
それでも俺は、ダサい今の自分のことを大学時代の自分よりも嫌いじゃなかった。