弟くんの逆転


「なに想像したの?梓ちゃん」

「なっ、別になにも…!!」

「焦ってんの、あやしー」

「なんでもないってば…!」


さっきまで、「奈保くん可愛い」なんて思って、なんだかほんわかしてたのに、あっという間に立場は逆転してしまって。…やっぱり奈保くんはズルい人だ。策士だ。あとちょっと腹黒だ。


「そう?」

「そう!」


一生懸命、こう…気迫的なものが奈保くんに伝わるように返事をする。


「じゃあもう、俺を見ても『香乃の弟の奈保くん』なんて思わないことだね」

「う…。それも善処します…」

「梓ちゃんが心の中でひっそりそう思っただけでも、俺は気づくから」

「はい…」


身に染みております。もう充分に。


「思うごとにキスする」

「え…!?」

「まぁ俺は、そっちもおいしいんだけど」


香乃。
君の弟くんは、甘くてキケンな子だったんだね…。




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