【短完】赤いチェックのスカートが翻った夏が来る。
お母さんは私と会うとは思っていなかったのか驚いたように息を飲んで、そして少し困ったように笑って、私と目線を合わせるように屈んだ。

私の耳元に口を添え、話をしてから私の頬にキスを落として。立ち上がり履いていた赤色のチェックのスカートを翻して徐々に明るくなりつつある闇に消えた。

今思えば「元気に育つのよ。」そう残して微笑んだお母さんはもう前から決めていたのだろう。

分かる。この年になれば昔わからなかったことだって色々と見えてくる。お母さんは他の男の人の元へと行ったのだ。

私とお父さんを残して、最後まで笑って赤色のチェックのスカートを翻し外の男を選んだあの女の人を私は生涯許すことは出来ないだろう。

何故?何故お母さんはお父さんと結婚したの?何故私を産んだの?

知ってる?いや、あなたはいなくなったのだから知るはずがないか。残されたものの気持ちなんて。残したものには所詮分からないでしょ?

< 2 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop