異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
すると言葉の続きは、陛下から告げられた。その陛下の表情も、普段の朗らかさとは違う、とても張りつめたものだった。
……俺に、マリーナ様を任せる? 聞かされたマリーナ様の名前に、俺の脳裏に屈託のないふくふくとした微笑みがよぎる。
同時に胸には、かつての優しい記憶のひと欠片が、そのぬくもりと共によみがえった。
「ライ・ザック、どうかしたか?」
一瞬意識を彼方へと飛ばした俺に、陛下が怪訝そうに呼びかける。
「いえ、そのマリーナ様を任せるというのは、具体的にはどういうことでしょう?」
平然を取り繕い、その真意を問う。
するとここで、対峙する陛下の目にキラリと光る物が浮かぶ。隣の王妃様の目にも、同様にキラリと光る物が見えた。
「わしは遅くできたマリーナが、かわいくてかわいくて……。それはもう、どんなに太ろうが目に入れても痛くないほどにかわいくてっ……!」
「あなたっ、私も同じですわ! 長男長女とてもちろんかわいいのですが、そこからまさか二十年も空いて意図せずひょっこりできてしまったマリーナはもう、ただただかわいい存在で。それで結果として欲し がる物はすべて与え、甘やかしてしまい……、うっ、うぅぅっ、これでは私は母親として失格ですわ」