異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「あ、とにかく行くよ」
私は読みかけのガイドブックをパタンと閉じて、席を立った。
うちは王族とはいえ、そんなに堅苦しい暮らしはしていない。お父さまとお母さまは公務で多忙だから、四六時中一緒に過ごすことはないけれど、夕食はいつも一緒に取っている。
夕食時が待てなかったとなると、 さて、いったいどんな急ぎの用事だろう?
とにもかくにも、私とアイーダは侍女の後に続いた。
「お父さま〜? お母さま〜? 呼び出しなんて、どうしたの?」
常の気安さで両親に呼びかけながら、 足取り軽く扉をくぐる。ちなみに足取りは軽くとも、足音はドッシドッシとそれなりに重いのだが、そこはご愛敬というやつだ。
「え!?」
だけどお父さまとお母さまの応接間におよそふさわしくないガチム チマッチョを視界に捉えた瞬間、踏み出した足が鉛のように重くなる。
ドスンとその場に踏み下ろした後、当然二歩目は出なかった。