異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
……な、なにあの、恐ろしいほどの存在感を放つ、おっかないガチムチマッチョ!
しかも 恐ろしいのは、そのガタイばかりじゃない。その顔も殺人級の強面だった。
眉間に深く刻み込まれた皺に、凶器みたいな鋭い目つきは、その目線だけで狙った獲物を射殺しそうな迫力だ。
……や、やだ。私、まだグラタンもカツレツも食べてないのに死ねないよ!?
湧き上がる本能的な恐怖に、ブルリと震える。
いや、私だって腐っても王女。 国内の情報はひと通り得ている。彼が、皆から冷酷無慈悲と恐れられている我がテンプーラ王国騎士団の騎士団長だってことぐらい察しがつく。
だけど実際に本人を間近にすれば、その威圧感たるや、半端ない! そもそも彼は、なぜここにいる!?
「おお、マリーナ来たか。そなたに紹介したい者がおる。こっちにおいで」
笑顔のお父さまが、チョイチョイと手招く。
……え、やだ。私、物すごく行きたくない。
なにより本能が、逃げろと警鐘を鳴らしてる! 退路を求め、チラリとうしろを振り返る。