異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
友の言葉に、胸が熱くなった。
「いやいや。それにしたって、お前が王子時代より楽しそうに、水を得た魚みたいに生き生きしてるなんていうのは想定外だけどな。よっぽどテンプーラ王国の水は、お前に合うんだろう」
「……そうかも知れんな」
「じゃーな、ライ! 王位は別にして、今度はお前から訪ねて来い! 俺が宰相になったからには、プローテイン公国はかつてのような閉塞感漂う暗い国のままじゃおかねえ! 何人にも広く門戸を開く新しいプローテイン公国を、お前の目で見に来いよ!!」
「そうか。では、この次は俺から訪ねよう」
友は朗らかな笑みを残すと、二股の分かれ道、プローテイン公国へと通じる方向へ消えた。
俺は友の背中が見えなくなるまで見送って、マリーナの待つ騎士団に続く道を駆けた。
その道中、かつての記憶が懐かしく思い出された。
……友は俺に、テンプーラ王国の水が合っているのだろうと、そう言った。 しかし実際は、そうではない。
合う合わないのそれ以前で、テンプーラ王国の水が俺にとってのすべて。 ここが、彼の方のいるこの地が、俺の永久のすみかなのだ。