異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
だが、それも当然のことだ。あの時の俺はぼろを纏い、悪臭を漂わせていたのだから。しかし、マリーナはそうではなかった。
幼さゆえの好奇かもしれない。ほんの気まぐれかもしれない。
しかし俺には、あの時の出会いが一生涯を懸けるに足る、まさに運命であった。
あれから、十年——。
当時の記憶は今も、鮮やかなまま寸分も色褪せていない。いや、当時はただまぶしいだけだった幼い笑み。
その笑みが十年の時を経た今は、俺の胸を狂おしいほどに熱く燃え上がらせる。
「あなたほどに魅力的な女性をほかに知らない……」
つぶやきは、茜色の空に混じって溶けた。
「とにかく、帰団したらまずはマリーナに詫びねばならんな」
簡単な伝言だけを残して騎士団を後にしたまま一晩戻らず、今日の鍛錬も急遽代理を立てる事態になってしまったのだ。
マリーナはもしかすると、俺への不満に、頬を膨らませているかもしれない。俺は騎士団に向かう足を速めた。
ところが俺の予想に反し、帰団した俺を待っていたのは、頬を膨らませたマリーナではなかった。
聞かされたのは、マリーナが行方知れずという、俺にとって悪夢のような内容だった——。