異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「っ! ライ・ザック殿!」
騎士団施設の門をくぐってすぐに、いつ になく焦った様子のアイーダが俺に駆け寄った。
「アイーダ、いったいどうした?」
いつも隙なく身なりを整えているアイーダが、今はほつれ髪もそのままに、憔悴しきっていた。
「姫様が、姫様が……っ!」
マリーナがどうしたというのだ!?
しかしアイーダは気が動転しているのか、唇は震えるばかりで、続く言葉を紡げない。
「落ち着け」
俺はアイーダを落ち着かせるように、その腕をトントンとさする。
けれど俺自身、表面上の落ち着きとは対照的に、一歩間違えばアイーダを揺さぶって問いただしてしまいそうなくらい、内心の動揺は激しかった。
しかし、なけなしの理性と、これまでの経験とが、なんとか俺をこの場の最善へととどめ置く。
「ゆっくりでいい。落ち着いて現状を、説明してくれ」
アイーダはハッとした様子で俺を見て、次に意図的にフゥッとひと息吐き出した。そうして表情を引きしめたアイーダは、俺の目を見てゆっくりと話しだす。