うたた寝
「どこを教えるの?」
「数列。なんか、ちょっと難しくなると全然解けなくなっちゃうんだよね。問題集の問題を教えて欲しいから問題集渡すよ」
「分かった」
「任した!!」
勉強は彼女の部屋でしようという話になり、部屋を片付けて服を着替えるから待っててとのことで、僕は彼女に教える問題を解きながら、終わるのを待ってきた。
1分、3分、5分。10分、20分。問題は解き終わったけれど、まだ彼女の部屋からはバタバタと動き回る音が聞こえる。
やることも無くなったので、リュックから昨日買った小説を取り出して、読み進める。好きな作家だけれど、今回のは少しつまらない。
気付いたら、本を開きながら寝ていた。
彼女の部屋から物音が聞こえてこない。彼女は気を使って、僕を起こさなかったのかもしれない。彼女の部屋をノックして、扉を開けた。
そこにいたのはベットで眠る彼女で。
「…風邪、ひくよ」
返事はない。彼女は中学生の頃の短パンのジャージに首もとがよれて着なくなった半袖姿で、布団は足元に寄せられていた。
布団を彼女に掛け直す。
「……ん、」
彼女は寝返りを打つ。小さく漏れた声は色っぽい。
彼女の髪を触りたい、彼女の手を触りたい、彼女の足を触りたい、彼女の唇に触れたい、彼女の肌を触りたい。
瞳に僕だけを映して欲しい、僕の名前を呼んで欲しい、僕のことを考えて欲しい、僕を触って欲しい。
他の人のことなんて忘れてしまえばいい、世界が滅んで僕と二人の世界になればいい。