墜落的トキシック


「それはっ、本当にわからない……です」


「は? 本気で言ってる?」



首を縦に振った私に呆れたようなジト目を向けて、佐和くんは低い声で言い放った。




「ネクタイ外さなきゃできないよーな、いかがわしいコトに決まってんだろ」


「いっ……!?」



思わず椅子ごと後ずさる。

360度爽やかイケメンの佐和くんの口から飛び出た言葉だとはにわかに信じがたい。


信じがたいというより、信じたくなかった。




好きとかじゃない。

仁科春樹────ハルに向ける気持ちのベクトルとは大きさも方向も違うけれど。



でも、ずっとひそかに憧れていたから。



いつも皆の話題の中心にいる、“見た目も中身も爽やか” な佐和侑吏くんに。

アイドルとか俳優みたいな、そういう存在として。




だけど、こっちが現実らしい。

そう悟ったのは次の瞬間、佐和くんが面倒そうに髪をかき上げたときに見えた右耳にきらりと光る黒い粒。



左耳には穴すら空いていなかったから、今まで気づかなかったけれど。



ピアス、付けてるんだ。



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