墜落的トキシック
「え……?」
「仁科に教えてもらってねーの?」
すぐに反応できなかった。
まさか、佐和くんからその名前を聞くことなんてないと思ってたから。
“ 仁科 ”
その名前に私はまだ────めっぽう弱い。
「凄い噂だったから俺でも知ってる」
「……?」
「仁科春樹の元カノ。幼なじみで入学前から付き合ってたけど、一年の終わりにこっぴどく振られたカワイソウな久住花乃さん、違う?」
カッと頬が熱くなった。
知ってるんだ、全部。
そんなに噂になってるんだ。
一瞬にしてのぼった熱は、怒りとか羞恥心とか、たぶんそういう類のものじゃない。
まだ、まだ私が全然過去にできていないことに改めて気付かされる。
顔色ひとつ変えずに言い切った佐和くんに、何か言い返したかったけれど言葉にならなかった。
押し黙った私に彼は。
「仁科とやることやってんならわかるだろ?俺と、先輩がナニしててネクタイが入れ替わったかくらい」