墜落的トキシック
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そんなこんなで一週間。
正確には、土日を抜いて4日間。


侑吏くんのスパルタ指導はみっちり続いた。


そして、明日にテストが迫った本日5日目。
侑吏くんとの勉強会もついに今日が最終日だ。




「侑吏くんの字って癖がないよね」



今日は主に古典を教えてもらっている。
品詞分解がどうにも苦手なのだけど、ひとまず侑吏くんのノートを写し取ってから解説してもらうことになり。


貸してくれたノートの中身を今、せっせとルーズリーフに書き取っているのだけれど。



侑吏くんの字って前から思っていたけれど、さらっとしている。
ほめ言葉だよ。変な癖がなくて、きれいで読みやすいってこと。



字は書く人の内面を映す鏡だとたとえられたりもするけれど、侑吏くんの字は本人の性格に比べてだいぶ薄味な気がする。

元の字がこんなにきれいだと、写した後の自分の字がみにくく思えて恥ずかしいな、なんて。




「おまえの字はやけに丸いな」




侑吏くんが私の手元をのぞき込んで。
はっ、と鼻で笑った。


こればかりは自覚があるから何も言い返せない。くせ字なのは、物心ついた頃からずっとだ。




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