墜落的トキシック


「はー……」


しばらくの間、自分の運の悪さを呪っていたけれど。
どうにもならないから、別に死ぬわけじゃないしいいか、と最終的には諦めた。



いわゆる閉じ込められた、という状況だけどそこまで悲観的にはならなかった。
だけど、暗闇の中に一人きりだと心細いのは否めなくて。


ついでに先程の北村さんの言葉が頭の中を駆け巡る。




『どっちつかずの態度が、いろんな人を傷つけてぼろぼろにするんだから』



どっちつかずって。
私はそういう風に見えているのかな。


……でも。


それを決めるのは私じゃないよ。



別れを切り出したのはハルからだ。
侑吏くんだって、私のことはただの暇つぶしとしか思っていない。



……侑吏くん。一昨日、置いて帰ってしまったこと怒ってるかなあ。


怒るよね。だって、私なら怒ってる。


嫌われてしまったかな。
ていうか、そもそも侑吏くんは私のこと、嫌いかもしれない。

嫌い、だと思う。

だって、いつも不機嫌だし。暴言ばっかりだし。私だって侑吏くんには酷いことばっかり言っている気がする、し。



別に悲しいわけでも泣きたいわけでもないのに、じわり、と目頭が熱くなった。
一人で、しかもこんな暗闇の中にいるとついつい余計なことを考えてしまう。


いけない、と目元をぐいっと拭って他のことを考えることにする。



そういえば、お腹空いたなあ、とそう心の中で呟いた瞬間。




─────ガチャガチャッ




外側から、乱暴に鍵を開ける音が聞こえた。





< 210 / 323 >

この作品をシェア

pagetop