墜落的トキシック

「ほんと、むかつく!」


とん、と私の肩を押して、それから背中を向けて走り去る。


────ドサッ


直後、体の均衡を失って、尻もちをついた。
そんなに強い力で押されたわけじゃないけれど、気を抜いていたから。


体育館倉庫の扉は開いていたため、転んだ結果、倉庫の中に体ごと突っ込むことになった。



「う、痛……」



じわり、と広がった痛みに顔をしかめる。
でも、彼女たちには怪我させるつもりなんてなかっただろうし、この程度で済んだのなら十分だ。


小さく息をついて、立ち上がろうとした、けれど。



「っ、」



足にうまく力が入らない。
代わりに、鋭い痛みが走った。

どうやら、転んだ拍子に足をひねってしまったみたい。



……運が悪い。
どうしたものか、と頭を抱えていると。



────ギイイィ……



風にでも吹かれたのか、錆ついた金属音がして倉庫の扉が閉まる。
途端に真っ暗になった。


這いずってでも出るしかない、と暗闇の中手探りで扉を探すけれどなかなか見つからなくて。


さらに数分後。



────ガチャリ




「……うそ」




外側から鍵がかかる音がした。
用務員さんが回ってきたのだろう。


そのとき助けを呼べばよかったのだろうけど、声を上げる気力は既になかった。



……最悪だ。
ツイてないにも程がある。



弱り目に祟り目。
泣きっ面に蜂とはこのことか、なんて。







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