墜落的トキシック
「侑吏くんは暑くないの?」
ぱたぱた、と手で扇ぎながら尋ねる。
窓の外では太陽がジリジリとアスファルトを照りつけている。
こんなに暑いのに平気な顔してるなんて頭おかしいんじゃないか、と思っていると。
「我慢してんだよ」
「へ?なんで……」
「暑いっつったら余計に暑くなるっつったのはどこの誰」
侑吏くんが細めた目で私を見据える。
「あ……私だ」
うっすらと身に覚えがある。
ていうか、そんな細かいことよく覚えているな。
それで、律儀に守ってくれていたんだ。
……ふうん。
ちょっとくすぐったい。
「そんなに暑いっつーなら、アイス食うか」
「えっ、食べる!」
目を輝かせる私に侑吏くんは。
「ただし、今日の分の作業終わらせてからな」
「は?侑吏くんのけち!」
「うるせー、手を動かせ」
「……はーい」
げんなりと返事をする私に、侑吏くんはくっと喉奥で笑った。